2010年7月20日火曜日

なりすまし 

なりすまし                2005.8.10


昔から男女の接点は色々ありますが、最近は携帯や、出会いサイトなどといった過去に例を見ない摩訶不思議な世界があります。

江戸時代以前にも種々の出会いの話があります。

年頃になった娘に何とか良い人をと思う親心は、今も同じですが、昔は今ほど女性の再婚にオープンではありませんでしたので、結婚は一生の大事業です。

そのため、運悪く相性の悪い人と結婚すれば一生が台無しです。今のようにホテルもモーテルもありません。世間に知られれば「きずもの」扱いで、下手な行動も取れません。

 いわゆる「夜這い」は、このような女性にとって又は男性にとっても、「婚前婚」として相手を事前に知り、結婚後も仲睦まじく暮らすための知恵があったのです。

 ではどのように「夜這い」したかといいますと、これは身分やおかれた立場にもよりますが、光源氏のように事前に手紙を出し、相手の了解を得ていくケース。これは自分を魅力的だと自覚し、相手も乗ってくるに違いないと見通したいわば正攻法です。

 一般的な庶民はといいますと、村の祭りや何かのきっかけで男性が見初めた女性がいますと、男性は自分で作った「棒」を見せます。その「棒」の先に彫り物をし特徴を出します。女性はその男性が気に入ればその「棒」の形状を記憶しておくのです。

 現在と違い昔の夜はせいぜい月明かり程度です。ほとんど漆黒の世界で鼻をつままれてもわからないほどの暗闇です。どのように「夜這いするか」もうお分かりですね。

 年頃の娘は、雨戸に近いところに寝かせます。少しだけ戸が開くようになっています。

その娘が気に入った男は、先の「棒」をもってそっと雨戸をあけ、その「棒」を差し込みます。娘はその「棒」があの方かどうかを判断し、その方とわかればその「棒」引き寄せるのです。ところが違った「棒」が進入してくる場合もあります。当然そのときは押し返すのです。今も昔も男の殺生与奪権は女が握っているのですよ。

 ところで、問題なのは不男です。どうやってもモテません。どんなに太い「棒」でもだめなものは駄目です。これが村一番の優男の持っている「棒」を真似します。

この「棒」でマドンナを射止めようと「夜這い」するわけで、いわゆる「なりすまし」。

漆黒の闇の中では誰だかさっぱりわかりません。闇夜にからすです。

女がこの人とならと決断し、いつもは早々に帰るところを引き止め、しらじらと夜が明け始めた頃、ふと男の顔をみて仰天!!・・これがほんとの「棒前自失」であります。

「なりすまし」が多様化・高度化した現在、ご用心ご用心!

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