2010年7月20日火曜日

良薬は口に苦し

良薬は口に苦し             2005.8.5


私がソフトウエア開発技術者としてある程度やっていけるようになったのは、お客様で当時課長職だった方の厳しい指導のお陰と思っています。

まだ駆け出しで、コーディングが少しばかり出来る程度だった頃、底上げの履歴書の為に実力以上の成果を求められたのですが、その課長の指導は、自立を常に促すものでした。

まず、与えられたサブシステム全体の作業項目の洗い出しと、作業ボリュームの見積もりをし、スケジュールを提出させます。

このフェーズで行うべき作業に抜けはないか、段取りは良いか(クリティカルパスの確認)を徹底して考えさせ、何度も書き直させられます。

その次に、各担当にそれぞれのスケジュールを自ら引かせます。

そのスケジュールは、本人の実力と比較し甘くないかチェックされ、ほとんどより厳しいスケジュールに書き直させられます。

毎週、自ら引いたスケジュールの実績をチェックされ、たいていの場合未達成なのですが、なぜ出来なかったのか、それは外部要因か、それとも自分自身の問題かと厳しく問われます。毎週何度も叱責されますが、自ら設定した計画を予定通りできないことに対して自身に対する悔しさと、今度こそしっかりやろうとする闘争心が生まれたように思います。

 当時はコーチングなどといった考え方は無かったのですが、その課長はまさにコーチングをやっていました。こうしなさいとか、単に怒るようなことはせず、どうしたら出来るのかを考えさせ、自ら計画させ、結果に対して反省させ、また自ら次ぎの計画に向かわせるといった指導だったように思います。

 怒られているときは本当に怖くて仕方なかったのですが、一年もすると作業の漏れは無いか、段取りはこれで良いかと自然に考えられるようになっていました。

その後多くのプロジェクトに携わってきましたがほとんど失敗することなく過ごすことが出来たのは、若い頃に厳しく教えていただいたことによると感謝しています。

 余談ですが、会社を創業しある程度軌道に乗り始めた1992年にその恩人の方に、東京でお会いし少しばかりのご馳走を差し上げ、当時厳しく指導していただいたことに対し改めて御礼を申し上げました。

 既に70歳を越えられていると思いますが、いまだに現役でプロジェクトマネージメントなどのコンサルタントとして全国を回られているようです。

良いプロジェクトマネージメントは、「人を知り、人を生かし、人を幸せにする」素晴らしいノウハウです。是非皆さんもチャレンジしてください。

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