2010年7月20日火曜日

ご時世

ご時世               2006.12.12


今年の流行語大賞は、“イナバウアー”と“品格”になったそうな

イナバウワーはプロスケーター荒川静香さんのオリンピック金メダルで一躍有名になり、品格は“国家の品格”というベストセラーで数学者の藤原正彦氏が選ばれた。

 前年は“想定内”と“小泉劇場”というバブリーなイメージだったので、今年はその反動のように美しさや品の良さが評価されたのだろうか。

多数派工作に明け暮れた派閥型政治をぶっ壊した、小泉内閣で確かに政治が判り易くなったことは事実で、旧来の自民党には戻らないと宣言しているが、安倍首相が掲げる“美しい国へ”というテーマは、一体どのようなものか。

 多くの国で森や林を伐採し、戦争や核実験、大量の石油消費などで、地球全体の自然環境が破壊され温暖化が急速に進んでいる。世界でもまた日本でもかつて経験したことのないような、台風や竜巻が各地で被害をもたらしている。

 最近のニュースといえば、学校でのいじめ、親殺し、子殺しなど毎日のように報道され、地方自治体の談合、公務員の不正など等辟易してくる。

森を造る事も、人を育てることも小手先では出来ない。数十年数百年の事業で、すぐに結果が出てくるものではない。

 株主から早期の実績を求められる経営者のような発想では、このような長期ビジョンの施策は出せない。

 “美しい国へ”の理念は素晴らしいが、果たして我々国民がそこまで我慢できるだろうか。ヤンキースの松井選手が、日経新聞で語っていたが「野球とは我慢すること」だと。野球はほとんどが失敗のゲーム。ヒットはせいぜい3割。7割は失敗している。

だから打てる球が来るまでじっと我慢する。打てる球が来たとき確実にヒットできるように日々鍛錬し続ける。それが野球だと。

 私たちの生活は現在とても便利になった。100年前と比べれば夢のような世界だ。

私たちはその便利さを追い求めた結果、即物的、刹那的、結果主義、金権主義、物欲的な発想になっていないだろうか。プロセスを楽しむこと、会話を楽しむことが苦手になっていないだろうか。在るがままを受け入れ、我慢し、工夫し、改善しようと知恵を働かせているだろうか。人を批評する前に、自らを反省しているだろうか。他人のことを本気で心配しているだろうか。

 かつて日本を訪れたアインシュタイン博士やドラッガー博士などは、日本人の質素・勤勉・正直・親切・正義感など人間として本当に素晴らしい国民だと称えてくれた。

現在の状況を作ったのは私たち大人の責任です。政治や他人のせいにせず、これから本当に誇れる日本を築いていくという目標を持って行動しなければ何も変わらないと思う。美しい国を作っていくのは、安部首相でも政治家でもありません。私たちなのだという意識こそ大切なことだと思います。

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