読書その2 2005.9.16
三島由紀夫が割腹自殺後どんな人間なのか興味を持ち、小説やエッセイなど色々と本を読みました。大変優秀で大学卒業後大蔵省に父親の説得で入省したが、作家としても仕事をしており、ある日眠気に襲われホームから落ちたそうです。それでようやく大蔵省を辞めさせてもらったといいます。文学界では「雪国」で一躍有名になった、川端康成がいますが、世評ではノーベル文学賞は三島が第一候補だったそうですが、先輩格の川端を立ててノーベル文学賞を決めたとの話が当時ありました。
三島と川端の関係もなかなか面白く、ある日三島のお母さんと川端と3人で電車に乗り旅行をしたそうですが、川端のあの鋭い視線をお母さんに投げかけ、まとわり付くように見られたと、お母さんが三島に話したそうです。お母さんもかなりの美人だったらしく、好色の川端ならさもありなんと合点したそうです。
蛇足ですが、三島の割腹自殺の折には現場検証などに川端も行ったそうです。当然ながら、この事件以降三島のノーベル賞の話は消えました。その後、川端は若い女性との恋に破れ自殺します。そのマンションは逗子にありましたが、当時私も横浜に住んでいましたので、わざわざそのマンションを見に行った記憶があります。ミーハーですね。
さて、最近読んだ本で一番面白かったのは、塩野七生の「ローマ人の物語」です。
単行本で20巻あります。20巻の表紙にはローマ帝国で使われていたコインが描かれています。紀元前753年にロムルスと3000人のラテン人によって建国されたローマ帝国の1000年に及ぶ興亡を仔細に描写しており歴史の縮図を観る思いです。
この物語を読んで感じたことは、2000年近く前に既に民主主義が発達しており、
民意を反映しない皇帝は追放されるという事実。ローマ人は他国を併合しても、その国の文化や宗教を尊重し、積極的に取り入れていったこと。ローマの良さを認識させるため、属国の貴族の子供を留学させ、教育したこと。税金は非常に安く効率的に(民間に徴収を委託)行っていたこと。位の高い人は公共の事業(道路や下水道など)を私費で行い、社会貢献していたこと。
ローマ人というと遠い世界の人のように感じていましたが、その思想や暖かさは正に日本人ではないかと思われるくらいでした。
また物語の中で、昔理科で出てきた、アルキメデスが戦場でその才能を発揮し活躍したという話は、読んでいてとてもメルヘンチックな気分を味わいました。
ローマ帝国が栄華を極めた頃には、既に滅亡への第一歩が踏み出されており、民意を無視した傲慢さや、汚職・不正などがはびこり、人々が互いを信頼できなくなるような状況になり、瓦解への道は避けられなくなったのです。
政治も、企業も誠実に誠意を持って、民意や社員に応える努力を続けることが大事なことだと、歴史は教えているように思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿